第3話
「記者室の風景」
4月6日(木)名人リーグがあるときには、自分の担当でなくても見に行くようにしています。
この日は加藤正夫九段vs羽根直樹七段戦。夕方到着した私は、ここまでの局面に追いつこうと記録係から1枚棋譜を受け取り(5枚づけしているので借りるのはOKなのです)、だれもいない記者室で黙々と並べていました。
すると私の目の前に石田芳夫九段が座って、私が次の手を探していると「ここ」と盤面を指さして教えてくれるようになりました。続いて石田九段の隣に淡路修三九段も座り、私がもたもたしていると、「こっちじゃない」と淡路九段も教えてくれるようになりました。
対局を終えた趙治勲名人もやってきて、「加藤せんせ相手に羽根くん、すごい。殺し屋を殺しにいくとは……」といいながら、「内藤さん、棋譜はもっとこう(棋譜を持っている私の左手を身体のわきのほうへ引っ張って)持つんじゃない?それ(目の前に持って)じゃ盤が見えないでしょう?」。棋譜の持ち方まで教えてもらってしまいました。恥ずかしい……。
しばらくするとがまんできなくなった石田九段が自分で並べだし(とほほ)、総勢7人ほどになったプロ棋士たちが盤面をつつきだしました。光永淳造二段ら若手は遠巻きにみているだけ。私はプロ棋士の輪の真ん中で、小さくなっていました。なんでこんなことになっちゃったのかなあ。
4月13日(木)
朝日新聞の日曜版に石田芳夫九段出題の詰め碁が載っていますね。出題のコメントなどは秋山(春秋子)記者が書いているのです。
石田九段が私に問題4つが書かれている碁罫紙を渡しながら「内藤さん、これ答えを説明しながら、秋山さんに渡してくれる?」。もちろん答えはどこにも書いてなく、「そ、そんなあ」とからかわれているのがわかっていても慌ててしまいました。
しばらくして秋山さんがやってきました。碁盤の四隅に詰め碁を並べて考え始めると、棋士が大勢寄ってきてみんなでああだこうだといいだしました。
石田九段の説明が終わっても、しばらく盤面はそのまま置かれていたので、記者室にやってくる棋士がトライしていきます。けっこう骨が折れるのもあるらしく時間がかかっている問題もありました。そんな感じです。あれはけっこう難しいのですよ。「3分で初段」と書いてあっても、初段の人ができたらすごい!くらいに思っていて大丈夫だと思います。
なゆき
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